神厩しんきゅうしゃ

神様かみさまつかえる神馬しんめ勤務場所きんむばしょが神厩舎)

午前10時、御神馬が出勤しゅっきんして来たところです。
神厩は神様にお仕えする神馬しんめをつなぐための建物たてもので、境内唯一けいだいゆいいつ素木しらきづくりです。参道さんどうに面した方は側面そくめんで、東向きが正面しょうめんです。内部ないぶは二つに分かれ、前方ぜんぽうに馬をつなぐ場所ばしょがあり、石のをおいて、後方こうほう畳敷たたみしき部屋へやになっています。
 神馬の勤務時間きんむじかんは、午前ごぜん10時から、午後ごご2時まで、雨や雪の日はお休み。神馬はおす白馬はくば条件じょうけんで、現在げんざいとう飼育しいくされています。建物の西、北二側の長押なげしには、さる彫刻ちょうこく八面はちめんほどこされ、人の一生いっしょう物語ものがたりに表しています。
馬屋うまやさるがいるわけ有名ゆうめいな「三猿」)−
 むかしから、猿は馬を病気びょうきからまもるという信仰しんこうがあります。(猿が馬を病気から守るという信仰は、陰陽五行説おんみょうごぎょうせつからしょうじたといいます。馬は火であり、猿は水であることから、火をまもまもる水、すなわち、馬を守る猿、という関係かんけい成立せいりつしたといわれています。)

−三猿の物語−
(1)母子ぼしの猿 母猿ははざる小手こてをかざし、とおくを見ています。これを見上げる子猿こざるの表情は、おやに対する信頼感しんらいかんちています。子供こどもしあわせせな未来みらいねがう母親の気持きもちが表現ひょうげんされています。 (2)子猿三匹 (有名な三猿)「ザル、かザル、わザル」子供こどもころは、わるいことを見たり、聞いたり、話したりしないで、素直すなおな心のまま成長せいちょうせよというおしえです。
(3)すわっている猿 (まだ一人ひとりちしていない猿)大人おとなになることを「一人立ち」するといいますが、まだ座っています。これで立ち上がれば本当ほんとうの「一人立ち」。 (4)上を見る猿 二匹の猿が上方を見上げています。右端みぎはしくもが青くられているから「青雲せいうんこころざし」をいだく、青年期せいねんきの猿を暗示あんじしています。
(5)がけっぷちにたたされている猿 (下を見る猿)人生にまっすぐ立ち向かいますが、崖っぷちに立つときも。「人生の曲がり角」。まよなやむ仲間を励ます友がいます。 (6)物思ものおもいにふける猿  恋愛中れんあいちゅうと思われます。あい告白こくはくできずにいるのかもしれません。
(7)結婚けっこんした猿 二匹の猿の前になみ彫刻ちょうこくされています。二人で力を合わせ、人生の荒波あらなみえて行こうとしています。 (8)妊娠にんしんした猿 子猿もやがて母親になります。やっと親の苦労くろうが分かります。そして、ふたたあらたな人生(猿生)が始まることになります。